校長室ブログ

3/7  いつの間にか無くなったもの(2)

 来週の卒業式に向けて式辞を考えていたのですが、行き詰ったのでブログの方で気分転換を図ります。また、来週初めに生徒向けに配信する予定の読書案内ですが、来週頭にはブログで書くことがあまりなさそうなので、今回は先行公開してしまいます。 こんなものを読んできた10HP(銀河英雄伝説).pdf

 さて、今週は寒さの戻りがあり、今朝も日差しは強いのに風はコートの中にまでしみこむような冷たさがありました。特に月曜、火曜に2日続きで降った雪には驚かされました。

 

 「いつの間にか無くなったもの(2)」は合格発表の貼り出しです。

 県公立高校の入学者選抜の合格発表も終わり、ほっと一息ですが、今年度から県立高校の合格発表は完全にWeb化されました。発表用サイトにログインして合否を確認する仕組みなので、IDとパスワードを知っている人しか結果を見ることができません。合否結果を他人には知られないで済む今年度からの方式は、個人情報保護という点では、改善・進歩と言えます。しかし、結果はネットでみて、合格した人だけが書類を取りに来るという方式は、なんとなく物寂しく、季節感がないように感じました。昨年度までも選抜結果はWeb上に掲載していましたが、学校の掲示板への貼り出しも並行して行っていたので、受験生は学校の掲示で確かに自分の番号があるのを確認して、保護者や友人と喜びあうという風景があったのですが…。

 インターネットが普及する以前は、合格発表は学校の大きな掲示板に張り出す以外の方法はありませんでした。私が教員になったころ、私が勤務していた学校では、合格発表の日に運動部が新入部員勧誘もかねて、合格した受験生を胴上げするサービスをしていました。いわゆる伝統校と呼ばれる学校では、割とよくある風景だったと思います。しかし、この風景を見せられる不合格の生徒がかわいそうだという声が出て、「やめさせよう」ということになりました。決まったことなので、私も部員に話をして胴上げをやめさせましたが、何かすっきりしませんでした。

 また、これは最近、ネットのニュースで見た話です。とあるユーチューバーが、妹が指定校推薦で大学に受かってのんびりしてていいな、というような動画をアップしたところ、「一般受験のために頑張っている人の気持ちを考えろ」という批判が殺到し、動画の削除と謝罪をしたとのことでした。ユーチューバーはみんなに動画を見てもらわなければならないので、反感を買わないよう削除・謝罪をしたのだと思いますが、私にはそこまで責められる理由がわかりませんでした。

 胴上げの件でも動画の件でも、もし合格した人が不合格になった人やまだ受験が終わっていない人を見下したり、馬鹿にしたりしたのであれば許せないことだと思いますが、そうではありません。この人たちに合格を喜んだり、人から祝福されたり、あるいは合格後にのんびりしたりする権利はないのでしょうか。

 不合格になった人や、これから受験に挑まなければならない人にとっては、合格した人のことは、うらやましかったり妬ましかったりするかもしれません。それもやむをえない心理だと思いますが、これを前面に押し出して、合格した人に自粛を要求するのが、当然の権利だとは思えません。(ネットで騒いでいたのは、ただ炎上させたいだけの第三者だったのではないか、と思いますが。)

 合格した人は喜びながらも勝ち誇ることをせず、不合格になった人やまだ合格していない人を思いやり、不合格になった人やまだ合格していない人は、内心はうらやましさや辛さを感じるかもしれませんが、合格した人に「おめでとう」というのが、人としての建前です。以前にもこのブログで書きましたが、人には建前のために無理や「やせ我慢」をすることが必要なのではないでしょうか。こういった経験をすることで、人の人としての力は磨かれていくと思うのですが、最近は、世の中に妙な忖度や配慮がはびこって、その機会が減っている気がします。