3/3 ひなあられ & 白鳥伝説
早いものでもう3月、ひな祭りです。
私事ですが、私は昔から雛あられが好きです。大粒のものではなくて、米粒を膨らまして様々な色をつけた昔ながらのものが…。
さて、生徒向けの読書案内「こんなものを読んできた」の第9回を配信しました。今回、紹介したのは谷川健一「白鳥伝説」です。大学の歴史学専攻の学生(それもかなりまじめな人)でもないと歯が立たないような本で、高校生には難しすぎるかもしれません。はっきり言って私も十分に読みこなしたとは言えません。でも背伸びをして、わからないなりに読んでみるのもいいことだと思います。
詳しくは実際に本を読んでいただきたいのですが、この本は日本の建国や成り立ちに関する学説を示した本です。以前2月12日付けのこのブログで「神武東征」には、該当するような歴史的事実があったのではないか? と書きましたが、この本もそういった立場に立っています。
神武東征の時、迎え撃った側は、神武と妥協して降伏したニギハヤヒノミコトと、徹底抗戦をして殺されたナガスネヒコの2つの勢力に割れました。この時、ナガスネヒコの一派が関東地方や東北地方に逃れましたが、それらが後に「エミシ」と呼ばれた人々であり、その後も長く近畿地方にできた「ヤマト」に抵抗しました。この人々の住む地域が「ヒノモト」ですが、その後次第に「ヤマト」に押され飲み込まれていきました。しかしこの「ヒノモト」の意識は、関東・東北の人々の中に長く残っていきます。それらの人々が神や神の使いとして尊崇したのが白鳥で、それにまつわる神社や伝説が今も各地に残っている、というのが、乱暴にまとめた「白鳥伝説」の要旨です。
ガチガチに硬派な歴史研究ですが、壮大なイマジネーションと本物のロマンがある本です。
さて、この白鳥伝説ですが、私たちの身近な埼玉県にも残っています。埼玉のアニメ聖地発祥の地ともいえる鷲宮神社ですが、祭神は天穂日命(アメノホヒノミコト)、武夷鳥命(タケヒナトリノミコト)、大己貴命(オオナムチノミコト)とされています。このアマノホヒとタケヒナトリが神武東征に抵抗したナガスネヒコ勢力につながる神です。もうひと柱のオオナムチも、出雲神話の主神ですから、鷲宮神社は、国譲り~神武東征における敗者の側を祀った神社と言えます。そして鷲宮神社の「鷲」ですが、猛禽類(ワシやタカの仲間)のワシではなく、大きな鳥一般「オオトリ」と解すべきでしょう。(たとえば草加には大鷲神社(おおとりじんじゃ)という神社があります。)そしてオオトリといったら白鳥やコウノトリです。
次に鴻巣の鴻神社ですが、こちらは比較的新しい時代に、鴻宮氷川社、熊野社、雷電社を合わせてできた神社とされています。しかし地元にはコウノトリ(白い大きな鳥)が悪い蛇を退治したという伝説があり、白鳥伝説っぽい感じです。ちなみにここの境内に「なんじゃもんじゃの木」と言われる木があるのですが、先に紹介した鷲宮神社と深い関係があり、天鳥船命(アメノトリフネノミコト)を祀る神崎神社(千葉県香取郡神崎町)にも「なんじゃもんじゃの木」があります。二つの「なんじゃもんじゃの木」は木の種類が違うようですが、これは偶然なのかそれとも白鳥伝説に何らかの関係があるのか気になります。
さらに超マイナーですが、私の育った見沼区大和田に鷲神社(わしじんじゃ)という神社というのがあります。
たまに縁の下から江戸時代の古銭が見つかるというので、子供のころは縁の下に潜って古銭探しをしたりアリジゴクをとったりしていました。この神社は名前の通り、鷲宮神社から勧請された末社なのですが、同時に見沼の竜神にまつわる「見沼の笛」伝承があります。前に書いたと思いますが、見沼の竜神と言えば氷川神社です。鷲神社の摂社(境内に祀られた小さな神社)には氷川社はないようですが、氷川神社と何らかの関係がありそうです。
先述の鴻神社は、前身の一つが氷川社で白鳥伝説とも関りがありそう、こちらの鷲神社は白鳥伝説ゆかりの神社で氷川神社と関係がありそう。もしかするといろいろ隠れたつながりがあるのかもしれません。谷川健一の精緻な研究と比べれば、ザルもいいところですが、こんな風にいろいろ想像するのが歴史の楽しみというものです。